爆轟法ナノダイヤモンド基本粒子の大きさは2.6±0.5nmに決定!

 今のところ、事実上唯一の量産可能な人工ナノダイヤモンドは、「爆轟」という変わった方法で製造される。この方法は1963年から知られているにも拘わらず、基本粒子の大きさがなかなか決められなかった。ダイヤモンド結晶は等軸晶系なので、本質的に擬球形であり、直径が確定すれば表面積を比較的正確に推定することができ、一番重要な表面由来の性質も見当がつくので、重要な問題である。
 我々が初めて基本粒子を取り出したと思ったのは2005年であるが、DLS測定値は4.8±0.8nmであった。しかしDLS法は精度が悪いので、4〜5nmと表現していた。この値を使う人は今でも多いが、取り出し技術が進むにつれて、爆轟法ナノダイヤの直径が小さくなり、数年前にとうとう最小値2.6±0.5nmを示した。もちろん、取り出すときに壊しているわけではなく、直径は爆轟で生成した時に決まるが、ナノ粒子の常として凝集性が著しく高く、特に解砕操作で最後まで残る2量体の結合が強く、これを完全に切断し尽くして100%単量体(つまり基本粒子)にしない限り、観測値の平均は、真の直径よりも大きくなる。つまり、ひたすら最小値を目指せば、真の値に到達すると考えられる。
 2.6nmという値(もちろんナノ粒子だから分布を持つ)が本当に正しいだろうか?傍証が必要である。第一の証拠は、思いもかけないところから現れた。ナノダイヤモンドに関して信憑性の高い学術論文が始めて発表されたのは、先の爆轟法発見よりもかなり遅く、1989年のことでR. N. Lewisら(シカゴ大学)の業績である。この時は、太陽系誕生以前から宇宙を漂っていたとされる有名なAllende隕石から取り出して、TEM写真から直接大きさを求めたので、信頼性が高い。これがなんと2.6nmで、我々がDLSで求めていた値と完全に一致した!ただし、これは完璧な証明にはならない。隕石ナノダイヤと爆轟法ナノダイヤの関連が不明だからである。
 とすると、変な言い方だが、最も確からしい傍証とは、2.6±0.5nmの範囲内に入る大きさのナノダイヤ粒子を高い確率で作り出し、これよりも小さなナノダイヤは出来ないことを実験的に証明すれば良い。最近この初期段階に成功した。知的財産権の関係で、今全容を明かすことは出来ないが、時期を見て公表したい。この値から、爆轟法ナノダイヤモンド基本粒子が非常に有用であることを容易に窺うことが出来る。例えば球近似で求めた表面積は4000/gとなり、活性炭の世界記録に匹敵する。直径4〜5nmの頃は、殆どが2量体であり、有効表面積は、完全分散体の8分の1程度であっただろう。